第1章 ― 沖縄の個人開発者の現在地(前編): 340プロジェクトという数字の正体

第1章 ― 沖縄の個人開発者の現在地(前編): 340プロジェクトという数字の正体

340個のプロジェクトが、机の上に静かに積まれていた。

ターミナルで `ls ~/Documents/ | wc -l` と叩くと、341 という数字が返ってくる。これが沖縄の個人開発者が3年でやってきた仕事の物量だ。中身を見ていくと、ジャンルがめちゃくちゃ幅広い。

何があるのか — 340ディレクトリの分類

ざっくり眺めただけでも、こうなっている。

~/Documents/ 直下の主要ディレクトリ(抜粋)

カテゴリ代表ディレクトリ件数感
AI/音声AI-labo / AISpeakSYSTEM / SpeakAI1205 / voice-chat-ios / 音声入力10前後
LINE関連LINEbot / LINE-STAMP-GPT / LINE-STAMP-SB / LINEスタンプジェネレーター / LINEスタンプメーカー210前後
NFCNFCーTOOL / NFCカード書き込みアプリ / NFC名刺アプリ / DOG-TAG-NFC8〜10
業務システム(受託)顧客管理puraPHP / 修理受付 / 在庫管理 / 在庫管理0610 / エアレジデータ解析 / 不動産スクレイピング111320前後
LP/コーポレート88lp / nextcode-lp / カウンセリング / 仲地興業HP / 住まい119 / 保険代理店VOICE-LP20前後
教育/学習AI_Prompt_kyouzai / NextCodeKids / 六法全書 / 弁護士システム2026版 / 弁護士補助アプリ10前後
3Dプリント3DPRINT / 3Dプリントデータ / OpenSCAD5前後
生成AI/動画サムネメーカー / 動画生成ー自動 / 写真から動画作成 / 漫画メーカー / Remotion15前後
飲食/店舗居酒屋メニューアプリ / レンタストア / 物々交換わらしべ10前後
怪しいのyamibaito(闇バイト) / 特殊詐欺 / 投資詐欺対策シミュ5前後

数字だけ見ると「340プロジェクトもやってる」と賞賛されそうだが、実態は違う。340のうち、本当の意味で「世に出てユーザーがいる」のは20本くらい、稼ぎになってるのは10本くらい、本当に継続収益が立ってるのは — 正直に言って3〜5本だ。

なぜこんな雑食になったか

理由は3つある。

**1. 沖縄の受託案件は業種を選べない**。クライアントから声がかかる順番にやっていくと、不動産、修理業、建設、飲食、士業、教育、医療と一周してしまう。Tokyo の SaaS 企業に常駐できる規模じゃないから、来たものはやる。結果として「作れるもの100選」(`data/capabilities.ts` に115個ある) が勝手に出来上がる。

**2. AIが進化するたびに作り直したい衝動が来る**。同じ「動画生成ツール」でも、Stable Diffusion 時代、ChatGPT 時代、Gemini 時代、Veo 時代で、毎回作り直したくなる。これが「漫画メーカー」「動画生成ー自動」「写真から動画作成」「Remotion」みたいな似た名前のディレクトリが並ぶ理由だ。

**3. 「AI×沖縄の中小企業」というニッチを誰もやってないから、何でも仕事になる**。本土の大手SaaSが沖縄の修理屋さんの業務システムを作りに来ることはない。だから雑食でも食える。逆に言えば、雑食じゃないと食えない。

数字の証拠 — devStats.ts に何が書いてあるか

ポートフォリオの `data/devStats.ts` には、主要プロジェクトのコミット統計が記録されている。

data/devStats.ts より抜粋(2025-10〜2026-01の主要案件)

プロジェクトコミット数プッシュ数開発日数1日あたり
voice-lp-nextcode1,4013123046.7
meishi-digital524145806.5
lawyer-assistant36495754.9
video-ai-generator31282565.6
voice-chat27875664.2
line-stamp-generator24568366.8
enlife-voice-lp199521414.2
ai-prompt-kyouzai18952404.7
nextcode-kids16948354.8

voice-lp-nextcode 1日46.7コミット。これは AI 駆動開発じゃないと出せない数字だ。3年前の僕が同じことを手で書こうとしたら、1日5コミットが限界だった。Claude Code を使い始めてから、コミット速度が10倍になった。これは過剰評価じゃなくて、ただの観測事実だ。

「作れるもの115選」の意味

雑食でやってきた結果として、`data/capabilities.ts` には 115 個の「作れるもの」が並んでいる。音声・AI(15)、LINE・チャット(12)、予約・受付(10)、EC・決済(10)、管理・業務(12)、教育・学習(8)、医療・介護(7)、飲食・店舗(8)、不動産・建設(6)、HR・採用(6)、マーケ・分析(6)、IoT・ハード(5)、エンタメ(5)、その他(5)。

これだけのジャンルを横断的に作った経験が、アプリ工場で22人のエージェントに指示を出すときの引き出しになる。例えば CareFam (家族介護) を作るとき、「医療・介護」だけじゃなく「LINE・チャット」(招待コードフロー)、「予約・受付」(通院予約)、「マーケ・分析」(週次サマリ) の経験全部が混じってくる。これが受託で雑食をやり続けたことの隠れた配当だ。

4コマ漫画 ― 「340個の墓場」

雑食受託3年が「アプリ工場」に変換される瞬間
雑食受託3年が「アプリ工場」に変換される瞬間
  1. 1コマ目ターミナル: `ls ~/Documents | wc -l` → 341
  2. 2コマ目「3年でこれだけやって、当てたのゼロかよ」
  3. 3コマ目「でも待てよ、これは『作れるもの115選』なんじゃないか?」
  4. 4コマ目雑食の経験が、22人のエージェントの引き出しになった瞬間

次回、第1章後編は「なぜ沖縄でやるのか」。家賃、回線、那覇空港の便、台風、観光客、補助金、孤独 — 沖縄で個人開発する具体的なメリットとコストを、3年分の実体験で書く。

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